対応:2026年8月号<第二部>②
前回の記事に続き、中国共産党の将来について扱った対談の後編です。今回は「体制崩壊への2つのシナリオ」と、それを踏まえて日本が取るべき防衛戦略について語られた内容でした。北野幸伯さんとの対談です。
※本記事は、ダイレクト出版が運営するサブスクリプション「パワーゲーム」内で配信された、北野幸伯さんとの対談(有料コンテンツ)を私が購入し、そこから触発されて書いた個人的な感想・考察です。北野さんのホームページは rpejournal.com です。なお、本記事は対談者による分析・予測を扱ったものであり、確定した事実の報道ではありません。
このシリーズの記事
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陸地に挟まれた海峡を上空から捉えた地形図(写真: Matvey Logachev / Unsplash)。台湾海峡を隔てた地理的な近さを思い浮かべながら選びました。
「侵攻する」か「侵攻しない」か、2つの道筋
対談で語られていた「2つのシナリオ」は、こんな内容でした。
一つ目は、経済的な正当性を失った習近平氏が、求心力回復のために台湾侵攻に踏み切るケースです。この場合、日米欧による厳しい経済制裁と台湾への軍事支援によって侵攻が難航し、中国経済がさらに疲弊することで、かえって体制崩壊が早まる、という見立てでした。台湾海峡は160kmあり、上陸作戦の途中でミサイルやドローンの標的になりやすいため、簡単な作戦ではないという分析には、なるほどと思わされました。
二つ目は、台湾侵攻を回避したまま、外資の撤退や統制強化によって経済がじわじわと停滞していくケースです。2014年のクリミア併合後のロシアと同じような構図で、習近平氏の死去や失脚の後、新しい指導者が経済再建のために自由化へ舵を切ったときに、一党独裁の限界が訪れる、という見立てでした。
どちらのシナリオでも、体制の変化は2030年代以降になるだろう、という時間軸が示されていたのが印象的でした。
日米安保という「お得な仕組み」の終わり
対談のもう一つの柱は、日米安保体制の変化についてでした。冷戦期の日米安保は、「日本をソ連の影響下に置かせないこと」と「日本が再び軍事大国化しないよう抑えること」という、アメリカ側の思惑によって支えられていた仕組みだったといいます。その結果、日本は防衛費を低く抑えたまま、経済成長に資源を集中できた。ある意味、非常に「お得な」構造だったという指摘には、率直に納得させられました。
しかし、アメリカの相対的な国力低下とともに、その仕組みは終わりを迎えつつあるといいます。中国の防衛費(約37兆円)に対し、日本は約8兆円。この差を単独で埋めることは現実的ではないため、防衛費の増額に加えて、欧州、インド、オーストラリア、韓国、東南アジア諸国との「準同盟」的な関係を広げていくことが、今後の日本の安全保障戦略の柱になる、という話でした。
リタイア生活者として、何を考えたか
防衛費増額のニュースは、家計にも無関係ではない。 防衛費がGDP比でさらに引き上げられるという話は、最終的には税負担や国家財政の形に跳ね返ってきます。年金や社会保障とも無縁ではない話なので、単なる「安全保障のニュース」としてではなく、老後の家計に関わる話として、今後も注視していきたいと思いました。
台湾・アジア旅行の計画に、長期的な視点を持っておく。 冬の間、台湾や韓国を訪れる生活をしている身として、シナリオ①のような展開が現実になれば、当然渡航計画にも影響します。ただし、対談で示された時間軸は2030年代以降ということなので、慌てて計画を変える段階ではないと感じています。それでも、「準同盟」というキーワードで語られていた国々(インド、オーストラリア、東南アジア諸国)は、まさに私が普段旅している地域と重なるため、今後も情勢は追いかけていきたいと思います。
「お得な仕組み」は、いつか終わるという前提で考える。 日米安保の話は国家間の話ですが、「片方が負担を肩代わりしてくれる、お得な関係」がいつまでも続くとは限らない、という教訓は、個人の人間関係やビジネスの関係にも当てはまるように思います。誰かの厚意や仕組みに頼りきりの状態は、長期的には見直しが必要になる時が来る。そう考えると、資産運用でも人間関係でも、「今の有利な条件がずっと続く」という前提に頼りすぎないことの大切さを、改めて感じさせられました。
おわりに
「もし台湾侵攻が起きたら」「もし体制が崩壊したら」という、大きな「もしも」の話でしたが、示された時間軸は数年先ではなく、2030年代以降というものでした。慌てて何かを変える必要はなさそうですが、こうした長期的なシナリオを頭の片隅に置きながら、資産設計や旅行計画を少しずつ調整していく。そんな向き合い方が、リタイア生活者としては現実的なのだろうと感じています。
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出典について
本記事は、ダイレクト出版が運営するサブスクリプション「パワーゲーム」内で配信された、北野幸伯さんとの対談(有料コンテンツ)を私が購入し、そこから触発されて書いた個人的な感想・考察です。対談内容そのものの転載ではなく、あくまで私自身の視点でまとめたものである点、ご了承ください。なお、本記事で紹介した内容は、対談者による分析・将来予測であり、確定した事実ではありません。
北野幸伯さんについて 国際政治アナリスト。ロシア(モスクワ)留学の経験を持ち、「国家戦略」「地政学」の視点から世界情勢を読み解くメールマガジン・書籍を多数発信。ダイレクト出版のサブスクリプション「パワーゲーム」のメイン講師も務める。 ホームページ:rpejournal.com
北野さんが講師を務める「パワーゲーム」講座の詳細はこちらです。
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